男は革張りの上質な椅子に座り、緩く口角を上げ冷たい眼差しで淫らなショーを愉しむ。その眼差しの先には美しくのった筋肉を丸くしならせ低く唸りながら何かに耐え震えている青年がいる。

「あ゛ンッ……~~っ!…ぁ゛っあ゛っあ゛っ!」

耐えた声を上げていた青年は苦しげにあ゛あ゛あ゛ぁ゛っ!と悲鳴にも似た咆哮をあげ一瞬大きく身体を震わせると真っ白で清潔なベッドの上で小さく小さく縮こまり、びくびくとその余韻に打ち震えた。その硬い丸みを帯びた臀部は黒いベルトで何かが埋められており、それは青年の咆哮とともに男によりカチリ、と動きを止められた。そして淫らで清潔な空間に響く吐息は息がうまくできないのかまるで犬のようで。その下品でだらしのない音は男に不快感に似た興奮を催させた。

「なん、…な、んだよっ……あんたぁっ、なっにがァッンンっっ……し、たいんだ、ぁッ……?」

未だ冷めやらぬ熱に溶け揺らぐ瞳は戸惑いを滲ませ、漏れる声は苦しさと隠しきれない甘さを露呈させる。男はゆっくりと立ち上がると青年の吐息だけが響く部屋の静寂さを守るように静かに近づき冷たい指先で汗が伝い甘く張り詰めた頬を酷く優しく撫でた。青年はぼやける世界のなかで酷く優しく触れる指先の冷たさに火照った身体を慰める気休めの安らぎを感じ、その手に甘えた。数秒もせずに正気を取り戻した青年は自身のその無意識の行動に顔を赤らませ、男から逃げるように距離を取ろうとする。その青年の行動に仄暗く口角をあげた男は何も言わずにカチリ、と音を響かせた。


「ぇあ゛っ!?!?ぅ゛あっあ゛ン、ン゛ッンンン゛~っ!」

青年は甘い叫声をあげ、臀部のベルトは妖しく蠢き終わったはずの快楽がまた痺れのように身体を蝕む。距離を取ろうと立てた腕の間からまた首を擡げる陰部が覗く。シーツを握りしめる手はきつく、新たな皺をいくつも波立たせる。青年の身体は甘く泡立ち、戸惑いを滲ませていた瞳はひたすらに甘く蕩け、緩まった口元は淫らに光を集める。青年の短い睫が揺らめき、眉さえも蕩け、二度目の絶頂を待ち望んでいるとカチャカチャと音がし陰部に柔らかく冷たい感覚が訪れる。

「あ、…ぅ?ぅ゛なぁっ?ゃ、な、なん…だよおっ!??!こ、れぇっ……!んっ…んあっ!」

青年の陰部には鈍く光る柔らかな革のベルトが閉められており、それは青年を決定的な快楽の波から強引に引き離していた。青年はベルトの意味を理解できずに甘さを隠さない声で譫言のようにいけない、いけない、とかぶりを振りながら涙を流す。




「あっ……ぅあンっ……!ンンッン゛、ぅ゛~ッ!もっ……あっぁっ……!も、…い、やだァッ!い゛ッきたいィ!ぃ゛き゛た゛ぃ゛~~ッ!!」

青年にとって数時間にも思える耐え難い時間により心は鈍り、その苦しいほどの責め苦により子供のように泣き出し、かぶりをシーツに擦り付けるその様はシーツに甘えるようにも、ただ淫らに腰を揺すっているように見える。


そして訪れない絶頂に耐えきれなくなった青年の止まらない戯言、虚ろに融けた瞳に男は喉をゴクリと鳴らし、カチリと青年を妖しく蠢き責め立てていたものを止めた。青年は責め立てるものが止まってもぐずるように揺する腰を止められずに蹲る。男はそんな青年の臀部からベルトを外し中に埋めていたものをゆっくりと回すように抜き出した。青年はその緩慢な動きにただ揺すっていた腰の動きを合わせ自ら快楽を求め、あっあっと声が漏れた。その声にはもう雄の響はなく、あるのは快楽への素直な産声のような響きだった。男は青年のそんな反応を楽しむように蠢きをやめたものを時折中に戻し、青年の素直な反応にまるで奉仕をするかのように合わせた。青年は優しく無秩序に再開された動きにただ甘え、それでもなお訪れない絶頂にぐずるように泣いた。

「ふ、ぅ…っぅ、ぅえっゃ、な、…も、ゃあっ」

男は蹲る青年を後ろから挙上させ自身をもたれ掛けさせるとその膝を抱えた。

「ん、あぅ…?…!ひ、ィッ…!うあっ!アっあぁっ……!?ンぁああ!!?!」

そして男はカチリ、と音をさせ青年の好きに動かしていたものは蠢きを開始した。青年は自身をいじめる腕を引き離そうとその腕を掴むがままならずむしろ襲いかかる快楽によりその腕に縋ってしまう。男の腕を抱き込むように縋り付くと陰部や会陰部などを男の腕に擦り付け自ら更なる快楽を求め始めた。男はそんな青年の背に手を回し優しく抱きしめその愚かさに笑みを浮かべる。

「ヒ、ひゃぁあ……!あぅっあっあんっ!それっ!それゃだっ!あっなん、ゃめっ!それはやめぇ!っろよお!あっあんンっ!だめぇ!だってえ!ゃだっ!ほんっっ…ッゃ!ゃ、ぅ、ぅぁあっ!」

男は責め立てるものを背に回していた手に持ち帰ると空いた手を青年の陰部に当てそのフォルムを愛でるように優しく撫でた。喚き暴れだしそうな青年を抑え込みつつそのフォルムをしとしきり楽しむと次は先端でパクパクと悲鳴をあげるように体液を流す小さな穴を親指でまるく撫でる。

「あっ!あぅんっ!あっ!やっ!?なんっ!?えっ!??ゃっ…!な、ンン?!!くる、え!?!ゃああっ!ゃぁあだあ!くるゥ!!わかんな、これぇ!!!た、ァすけ、ゃっ!きちゃ、ほんっきちゃゥ、うンっ!あっ!あっ!もぅっあっ!ンっ!あっ!や、ほんッと、に、ィ、ゃあだあああ!」

青年は背中をしならせ恐怖を含む二度目の咆哮をあげた。その瞳にはもはや何も写っておらず、その唇は快楽への恐怖に戦慄きその身体ははじめてのドライオーガズムの余韻に浸るようにしなったままである。
男はそんな青年にその快楽を染み込ませるように優しくも力強く抱きしめた。青年はそれにすら快楽の声を小さく上げ、意識をゆっくりと落としていった。

そして男は今度こそ蠢いたものをすべて抜き出しただ青年の意識が浮上するのを待った。




「……あんた、ほんとになにがしたいんだよ……」

意識が戻った青年は男に抱きしめられた状態に数秒驚いたが瞬時に意識を手放す前のことを思い出し戸惑いと未だに蝕む快楽を瞳に滲ませながら何度も発したその疑問を口にする。だが男はその質問に取り合わず青年のベルトにより柔らかくきつく締め上げられまだ擡げられたままの陰部を愛でるように見つめている。ピクピクと反応するそれを青年は恥ずかしそうに顔を歪め腕で隠そうとする。すると男は自らの陰部を隠そうとするその腕を掴み口を開いた。

「ジャンクドッグ、イキたいんだろう、なら隠すことは許さない。少しでも隠したら射精はできないと思えよ」